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所有せざる人々 アーシェラ・K・ル・グイン

細かい章立てに分かれていて、冒頭で主人公、シェヴェックがアナレスからウラスへ飛び立ち、最後にウラスからアナレスへ戻る

その間は、過去(アナレス)、現在(ウラス)での物語りが交互に語られるのだが、

途中までその二重構造に気づかないわ、どっちの話なんだか分からなくなるわ、

アホなんで、理解するまで時間かかった。再読なのに...

しかも、翻訳ヘタクソ

所有せざる人々

解説にあるが、ル・グインは主人公の物理学者にロバート・オッペンハイマー の記憶を多少投影していたらしい

そんなことは知らずに読んでいたが、哲学者/宗教者のルートヴィッヒ・ヴィトゲンシュタイン と、

数学者/論理学者のクルト・ゲーテル の姿を私は見てとった

ともにシェヴェックの1つのエピソードによる印象だが、

前者は学問をとりまく状況に対する不信と懐疑、後者は己の学問自体に対する自信喪失と迷い

特に本作の独自の社会制度と対峙するシュヴェックの姿が、若い頃のヴィトゲンシュタインをなんとなく

思い起こさせるんだよね



つか、これ確かにSFなんだけど、その枠に収まらないわ

ユートピア/ディストピアものとも称されているが、政治SFとも言えるし思想SFとも言える



以下、メモ

シェヴェックは両手に窓台に凭せ、室内がぼんやりと映っている窓ガラスをすかして戸外の闇に目を凝らしていたが、やがて口を開いた。「きみの話すことは狂ってよ、ダップ」

「ちがう、おれは正気だ。現実の外で生きようとすることが人々を狂気へ追いやるのだ。現実は恐ろしい。現実は人を殺すことができる。時間さえかければ、必ず人を殺すだろう。現実は苦痛だ――きみはそういったな!だがきみを狂気に追いやるのは虚偽だ、現実逃避だ。虚偽がきみに自殺を求めさせるんだ……」



「われわれを結束させるものは、われわれの苦悩であります。愛ではありません。愛は心に従うことはなく、追いつめられると憎しみに転じることがあります。われわれを結ぶ絆は選択を越えたところにある。われわれは兄弟なのです。なにかを共有することによって繋がる兄弟なのです。われわれは、一人一人が別々に苦しまなくてはならない苦痛を共に味わうことにより、飢えを、貧困を、希望を共有することにより、われわれが兄弟の間柄であることを認知します。

(中略)

われわれは互いに助け合う以外に救いはないことを知っています。手を差し出さなければ誰も救ってくれないことを知っています。(後略)」



アーシェラ・クローバー・ル・グイン 『所有せざる人々』 ハヤカワ文庫
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書いている人:せんちょう
こんな僻地にようこそです。

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英語読解は好きの気持ちだけで誤訳誤解ドント来い。
TF はお笑い方向に感想備忘録。

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