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大いなる天上の河 グレゴリイ・ベンフォード

大いなる天上の河
「機械生命の進攻!」「人類が生き残る道!」と非常に分かりやすいオビがまいてある本作

グレゴリイ・ベンフォード の 機械生命 vs 有機生命 の戦いシリーズ(名前が分からん)の3作目

1、2作は読んだ記憶がないが、つながりがないので困らず



いきなり異世界、地球ではない惑星の、ジリ貧もジリ貧、あとは滅亡を待つばかりの少集団

人類といってもかなり機械化もしているし、機械生命は敵でもあるが、

本作では芸術家気取りのアウトロー機械が強権振り回して半仲間風になったりと、100% 対立状態ではない。

解説でその辺りの事情が書かれているが、知らんで読んでいるからどうも肩透かし



「異質なものについて肝心なことは、彼らが異質だということだ」

後半にかけて繰り返される↑フレーズは、確かに機械の思想をさしているとは思うのだが…

アンドロイド化された人間、

ゆるい人格と記憶ごとチップ化されて生き残る人類の脳の辺縁に住む人間(の記憶)、

もはや異質さ、が分からない。1987年の本作にはムリな注文だが、

マトリックス や攻殻機動隊 を経た今となってはそれもムリな注文。



それより後半、機械生命が自らの芸術のため、有機部品の生産工場として、

脚や心臓、筋肉を培養しているのだが、その中で [セックスの化け物] と称される工場がなによりも異質だ

分かりやすくも嫌悪感を伴う異質。

後半、はるか昔の地球の描写でブロイラー工場を理解できないものとして描かれているのを考えると、

機械生命も、作中で書かれる人類も、もはや読み手からは異質。

なににも共感(シンパシー)を得られない孤独という異質さ。



ベンフォードは語り口調が独特なんで、本文引用しておきたい箇所が多いな



セックスの化け物 (工場)
近くの管の壁に、さらに裂け目が口を開けた。それらは大きくなり、楕円形の口には、筋ばったピンク色の紐が盛り上がっていた。それらは口を大きく開け、縁は赤くなめらかで、無数の繁みがあった。皺が寄った管が、さらに何本も集塊からもがき出て、濃い空気の中で波打った。それらの太い頭部がふくれた。自由になった管に対応して開き、大きくなるように見える裂け目を探し求めて、たちまちそれを見つけた。頭部は、動きまわる集塊の中でくねりまわってから、口を開けた裂け目に突っ込んだ。一つが入り込むたびに、長い震えが伴った。うごめくピンク色の集塊は、言葉では表現しがたい様子で身震いした。それぞれが交尾であり、男性と女性の器官がゼラチン上の集塊から形成されて、脈動する不安定な分泌物から互いに相手を呼び出し、グロテスクに滑りながら出会うと、ゼリー状の露骨な興奮の中に滑り込むのだということを、キリーンは、ほとんど自分の意思に反して気がついた。



動物を食べた時代
「その前に料理するんだ。たいていの植物についてやるように。人間が動物を捕まえて、工場に入れた時代があると、アスペクトたちはいっている。それらを早く育たせて、もっと早く育つように、外に出さなかったり、あまり運動させないようにした」

(中略)

キリーンは何かをいおうと口を開いたが、メカ集合体でのグロテクスな光景が、不意に頭にひらめいた。漕いでいる脚。ふくれた筋肉質の腕が並ぶ棚。光沢ある人間の部分を納めた地下室。




最期、おそらくベンフォードが機械生命と有機生命の違いについての解釈を書いてたのでメモ
死の確固とした評価基準は、純粋に邪悪なものではない。それは、一つ一つの瞬間に、強烈にして痛切な豊かさをもたらす。死ぬべき運命にある人間にとって、それぞれに1日は一度限りのものであり、心に深い感銘を与える。そんなことを、機械は決して知らないだろう。彼らは一種の静かな灰色の死の中に住み、どの瞬間も同一だから、どんな一瞬にも特別な意味はないのである。
夢見る脊椎動物だけが、人生にはそれ以上のものがあることを知っている。




グレゴリイ・ベンフォード 『大いなる天上の河』 ハヤカワ文庫
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書いている人:せんちょう
こんな僻地にようこそです。

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英語読解は好きの気持ちだけで誤訳誤解ドント来い。
TF はお笑い方向に感想備忘録。

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