スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ぼくたちは水爆実験に使われた マイケル・ハリス

(訳者あとがき)
核爆弾はまだ地球上に生まれて十年しか経っていなかった。不慣れなための失敗や予期せぬ出来事によって(あの「第五福竜丸」のときのように)大惨事が引きおこされるのではないか、失明するのではないか、あるいは放射線のために癌や白血病になるのではないかという不安が重くのしかかってくる。
奇妙な上官たちは少しも頼りにならず、男色家の軍医は関係をせまってくる。なんという島なのだろう、ここは。
(略)
『カッコーの巣の上で』も、脚本家ボー・ゴールドマンのこのエニウェトク島での一年の体験から生まれたものなのだ。


---

読む予定はなかったが、これ↑読んで読むことに。
 * この島 = マーシャル諸島。ビキニ、エニウェトク環礁。



これみんな読んだほうがいいよ。
気が滅入るけど。

12 回の水爆実験に立ち会った筆者の回顧録。
好きではない言い方だけど、「ヘタな小説」を読むよりずっと面白い。
深刻になりすぎないように、エンターテイメント性を保った読み物になってるし。

島に着いたところから始まるが、はじめの P10 で十分、ここがおかしいのが伝わる。
あまりにも状況も登場人物もオカシイので、
1/4 くらいまで ブラックシュチュエーションコメディ かと思って読んでたわ。。

それが、筆者の幼少期もそれだけで 1 本の物語のような濃密なエピソードがあると分かるころから、
笑ってなんかいられなくなる。

冒頭で、この島から出られるのは、1 年の任期を終えた者か、死体袋に入って出るか、と書かれてる。
死の選択をしないが、ここにはいられないなら、飛ぶしかないわけだ。
そんなわけで、力いっぱいオブラートで包んでも、狂人しかいない。

海で泳いだら三つ目の魚がいたり、
水爆実験から数マイルのところで、間違いでゴーグルもなく真正面で整列してたり、(本当は後ろ向き)
友人が耐え切れずに、夜に海を散歩して鮫に食われ、欠片が浜辺にうちあがったり、
サビて窓が閉まらない小屋で、死の灰がふるのにすら関心をもてなかったり。

それでも、最後は笑うんだよ。
水爆実験が、降下場所を間違えることなく、真後ろで爆破したので。間違えなかったパイロットに拍手して。

「(略)どんなことにも、水爆でも、笑っていられる人間でなければならないということだ。でなきゃ、一生泣いているすかないからだ」

---

(略)兵士の被爆照射量の許容限度を 3.9 レントゲンとしていた。ところが、"テワ" の降灰のときに、その数字を超えてしまった。それで、"ロック" から全員脱出させるために、ビキニにいたカーティス、エインワーズ、クヌードソンという三隻の戦艦をエニウェトクに急行させた。
(略)
三隻はまたビキニに戻ることになった。なぜか。第七合同任務部隊が急遽、許容線量を 7 レントゲンに上げたからだ。最大許容照射量を上げることによって(略)エニウェトクを瞬時に安全な場所に変えたってわけだ。
もうこのへんでやめておく。笑いすぎてもう書けない。



諦めの笑いじゃない笑い。
笑うしかない。

気が滅入る話だけど、読後感は悪くないです。
ブレイクスルーを感じる。

あと、これ読む前に「戦争における人殺しの心理学」を再読してたけど(酷いコンボ)、
単純に軍隊すごい。権威者の権威と要求の正当性すごい。


ぼくたちは水爆実験に使われた (文春文庫)
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

sidetitleごあいさつsidetitle
書いている人:せんちょう
こんな僻地にようこそです。

ここはチラシの裏。
英語読解は好きの気持ちだけで誤訳誤解ドント来い。
TF はお笑い方向に感想備忘録。

sidetitle記事リストsidetitle
最新の記事
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitle検索フォームsidetitle
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。